骨転移の評価方法について
こんばんは!!!!
Cancer rehabilitation blogを書いている作業療法士の三浦です。
現在、ツイッターで毎日がん関連の勉強内容についてツイートさせていただいています。
ブログでも並行してがんリハビリテーション関連について投稿していきたいと思います。
本日の内容
1、骨転移の種類
2、評価方法
1、骨転移の種類
・溶骨型:は骨細胞が増殖、文字通り骨が溶けていく
・造骨型:骨芽細胞の増殖、類骨形成し骨化の進行
・骨梁間型:海綿質の間質に腫瘍細胞が増殖
溶骨型が骨折のリスクが一番高い!
2、評価方法
画像評価は、PET-CT、X線写真、骨シンチ、CT、MRIで可能。
リスク評価は、
長管骨、骨盤転移:画像所見、Mirelsのスコア7点以上(図1)、骨皮質の浸潤30㎜以上
脊椎転移:画像所見、疼痛、運動麻痺、感覚障害、SINSのスコア7点以上
図1 Mirelsスコア
図2 SINSスコア
これらを使用して骨折リスクに関して評価を進めていく必要があります。
骨折リスクが高いと判断できた場合は主治医、整形外科医、リハ医にリハビリテーションについての安静度の確認が必要です。
本日はここまで!!
次回は溶骨型、造骨型の画像所見、がん種別の骨転移の違いについて書いていきます。
前立腺がんの放射線治療とリハビリテーションのエビデンスについて
こんにちは‼
Cancer rehabilitation blogを書いている三浦です。
本日は2013年に発行されたがんリハビリテーション診療ガイドライン第1版と2019年に発行された第2版を比較してみました。
「前立腺がんで手術を施行された患者に対して骨盤底筋体操を行うと、行わない場合に比べて尿失禁を改善することはできるか?」
推奨グレードA
http://www.jarm.or.jp/wp-content/uploads/file/member/member_publication_isbn9784307750356.pdf
2013年のガイドラインの段階では、尿失禁に対して骨盤底筋群トレーニングを行う事が尿失禁を有する患者の数が軽減、尿失禁が続く期間が短縮したとのこと。
一方2019年では、「尿失禁のリスクがある前立腺がん術後患者に対して、リハビリテーション治療(骨盤底筋筋力訓練)を行うことは、行わない場合に比べて推奨されるか?」
推奨グレード2B
がんのリハビリテーション診療ガイドライン 第2版 P47~51
従来通りでの骨盤底筋筋力訓練では効果にムラが生じているとのこと。術前からの筋トレや訓練期間を増やすなど、新たな報告は増えているがエビデンスレベルは下がっているとのことであった。
僕は前立腺がんに対して放射線治療を受けられる患者様を担当することがありますが、畜尿が困難であったり、尿失禁を認めている患者様もいますね。
放射線治療を受ける前には、決められた水分量を摂取し、約1時間畜尿します。そして放射線治療は10~20分程度かかります。
畜尿ができず、治療前に尿失禁してしまうこともあり、そうなってしまうと治療が受けられません。
また放射線治療は約30回程度行い1日1回週5日で期間としては1ヶ月以上かかります。
畜尿失敗が続くと治療ができない、治療ができないことに対してのストレスは大きくなり不安増強、食事量低下、睡眠不足、倦怠感出現と悪循環になるため、いかに治療を継続して受けられるかリハビリでもサポートができればと思っています。
あくまでも臨床経験レベルですが、畜尿が困難、尿失禁のある患者様に具体的にどういった介入をしているかはもし興味がある方がいらっしゃればご連絡いただけるとお答えいたします。
本日はここまで!!!!!!!
僕自身のがんリハビリテーション介入視点
こんばんは!!
Cancer rehabilitation blogを書いている作業療法士の三浦です。
本日はがんリハビリテーションでの僕自身の介入視点について書いていこうと思います。
がんリハビリテーションは消化器の術後の合併症予防、乳がん術後の肩関節可動域制限の改善、廃用予防、QOL向上等あります。
僕が臨床で介入しているのはstageⅣの患者様のみです。
stageⅣといえば、余命が短い印象がありますが、乳がんでは、stageⅣになってからも5年生存率が33%あります。stageⅢでは80%です。
全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査 KapWeb(2016年2月集計)による
stageⅣでもその患者様がstageⅣになってからどのくらい経過しているのかによってリハビリテーションの介入方法は変わると思います。
stageⅣの患者様に介入していると色々な介入観点が見つかります。僕自身の臨床経験では、
・生活面では、睡眠、食事、便秘のコントロール
・放射線治療では治療姿勢がとれるか、治療時の不安はないか、治療後のアフターケア
、倦怠感への介入
・化学療法であれば、化学療法誘発性末梢神経障害、ケモブレインなど
ベースとして考えるのは、あくまでも治療が継続できるようなサポート的役割ががんリハビリテーションでは必要だと僕は思います。
いかに治療を継続できるようサポートできるか、患者様自身も治療を一番望んでいるので、いかに治療を楽に受けられるか、それをサポートする視点も必要だと思っています。
本日はこのくらいで終わります。。
血液がん(リンパ腫)について
おはようございます。
Cancer Rehabilitation Blogを書いている作業療法士の三浦と申します。
現在、院内勉強会の資料作成中で、血液がんについてまとめています。
ブログでも血液がんについてまとめてみましたので、よければご覧ください。
そして、血液がんの中でも本日はリンパ腫について書いていきます。
リンパ腫:白血球の中にあるリンパ球ががん化したもの。リンパ腫の中で一番多いのはびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫でリンパ腫である。
まず、予後予測の分類として、IPI分類を利用します。病態、年齢、現在の身体機能などをIPI分類に当てはめると、低リスク、中リスク、高リスクに分ける事ができ、5年生存率に関しても出す事が可能です。
治療方法:R-CHOP療法
1日投与し、3週間休薬。
3週間サイクルで6~8クール施行。
主な副作用は、脱毛、嘔気、骨髄抑制、便秘、末梢神経障害。
投与日のみリハビリ介入を中止し、その後は副作用の症状に合わせてリハビリテーションが実施可能。運動療法はもちろん大事であるが、食事摂取量や睡眠時間が確保されている事が前提で進めるとよいと思います。食事、睡眠が欠落している場合はまずそこを改善する事を優先的に進めるとよいと思います。
後半は臨床経験談でしたが、どうでしたか???
本日はここまで!!!
廃用予防に対するリハビリ介入視点について
こんばんわ!!
お久しぶりです。
Cancer rehabilitation blogを書いている作業療法士の三浦と申します。
抄録2本目完成して、無事に演題登録完了致しました。
がんのリハビリテーションにおける重要なこととして今まで色々とお伝えしてきましたが、本日はがんリハビリテーションにおける一番の目標に挙げるべきことについて書いていきます。
それは、廃用症候群の予防です。
がん治療は長期入院になることが多く、廃用症候群になるリスクは非常に高いです。
では、廃用症候群とは何か?調べてみましたが、厚生労働省からの明確な定義についてはありませんでした。
そこで、下記のサイトで書かれていた内容を参考に説明していきます。
https://www.irs.jp/article/?p=483
このサイトでは
●廃用症候群の定義と特徴
廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のことをいいます。
廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著です。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもあります。
さらに、気分的な落ち込みが顕著に現れてうつ状態になったり、前向きに取り組むやる気が減退したりと、精神的な機能低下も見られます。
と書かれていました。
リハビリでのイメージとしては「離床時間拡大、歩行頻度を増やす」等の介入で廃用の改善や予防を図っている方も多いと思います。
しかしこれだけでは語れないほど、廃用予防の観点はたくさんあります。それらの内容について下記に記していきたいと思います。
※あくまでも私自身の臨床経験での内容であるため、参考程度でお願いいたします。
・睡眠時間、質の確認
・食事量、栄養量の確認
・離床頻度、離床時間の確認
・疼痛確認
・意欲の程度の確認
・精神面の確認
これらを確認し、もし問題があればその問題点の解消を優先的に行います。
これらの問題が解消されれば、歩行訓練や筋力訓練がより効果的に実施できるため、上記の問題点を解消する事が重要と思います。
また、廃用予防の観点から廃用改善へ高い目標を立てる際には、自主的な歩行訓練へと繋げるために、歩行スピード、歩行歩数、歩行距離について指導を実施が必要です。
今日はここまでにします。
また明日!!!!!!!!!!
化学療法を受けられるがん患者様に対するリハビリテーション介入
こんばんは‼
Cancer rehabilitation blogを書いている作業療法士の三浦と申します。
ここ最近は抄録2つに追われていて投稿できていませんでしたが、一つ演題登録を終えてひと段落したのでまたブログの投稿を再開していきたいと思います。
前回は放射線治療を受けている患者様のリハビリテーションが阻害となる有害事象について記載させていただきました。
今回は化学療法を受ける患者様のリハビリ介入時の注意点について記載していきたいと思います。
まず、化学療法で一番注意しなければいけない事は
骨髄抑制
ですね。
なんといってもどの薬剤でもほとんどが骨髄抑制を起こすリスクがあります。
骨髄抑制が生じる前は全身状態に合わせて歩く、筋トレなどの運動は可能ですが、骨髄抑制が生じると個室管理になり運動制限が生じ、元々自主的にウォーキングを行っている方であれば歩行機会が減少し廃用が進行するリスクがある。
個室管理になるとウォーキングが困難となり生活範囲がベッドのみとなってしまう。
これらから考えられることとして、
・自主的なウォーキング時間の減少→体力低下
・臥床時間の拡大→
①眠る気が無くてもやることが無いため日中に寝てしまう
②運動しないため消費エネルギーが少ないため、食事摂取量の低下
簡単にまとめると、臥床時間の拡大による廃用症候群の進行、夜間睡眠の質の低下、食事摂取量低下に繋がってしまう。
この状態は、がん治療を受ける患者様の免疫維持はできない。
この時に私の中でリハビリテーションとしてできることはたくさんあると思います。
例えば、
1、リハビリテーション治療介入
②臥位での筋力トレーニング
③自室で簡単に行える物作りや読書
2、予防的介入
①栄養補助食品の追加を栄養士に依頼する
②Nrsとリハビリスタッフの訪室頻度を増やし、覚醒時間を増やす
③Dr、Nrsに眠剤の使用について相談する
2の内容について、人によっては「これはリハビリではなく看護師がやることだろう」と思う方も中にはいると思います。廃用予防、免疫力維持の観点は幅が広いため運動面以外にも目を向ける必要性があると僕は思います。なのでリハビリのスタッフが上記の内容について介入していく事も良いのではないかと思います。
がんに携わると幅広い視点が必要だということがよくわかります。
幅広い知識が必要だからこそ、多職種での連携が必要となります。看護師やDrが気づくべき内容であっても、リハビリのスタッフがもし早い段階で気づいていればその事について多職種に相談することで廃用症候群のさらなる進行が予防できると思います。
投稿が少し長くなってしまいました。
今回は辻哲也先生の執筆されたがんリハビリテーションからではなく、僕自身が臨床で働いていてリハビリテーションとして介入できる点について書かせていただきました。
ではまた明日!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!